今回は、世界中で読まれている大ベストセラー、『チーズはどこへ消えた?』シリーズの4冊を紹介していきたいと思います。
どれも1時間程度で読める短い本です。
シリーズはどれも、「問題に直面している人が、知り合いから短い寓話を聞く→寓話→話を聞いた人が自分の問題に当てはめて問題を解決する」という構成になっています。
アップルやメルセデス・ベンツなどの世界トップ企業が社員教育に使っているほど学びが得られる、最高にコスパが良い本となっていますので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
『チーズはどこへ消えた?』シリーズとは?
『チーズはどこへ消えた?』とは、『チーズはどこへ消えた?』、『迷路の外には何がある?』、『プレゼント』、『頂きはどこにある?』の4冊のことです。
勝手にシリーズと呼んでいますが、『チーズはどこへ消えた?』の続編は『迷路の外には何がある?』だけで、他の2冊は直接話が繋がっている訳ではありません。
しかし、分量、構成もほぼ同じで、同じ著者が書いているので、シリーズとしてまとめて呼ぶことにしました。
著者「スペンサー・ジョンソン」について
著者のスペンサー・ジョンソンは、心理学者兼心臓のペースメーカーの開発にも携わった医師だそうです。
経営学の名著『一分間マネジャー』など多数の著書があり、アメリカではビジネス界のカリスマ的存在です。
『チーズはどこへ消えた』シリーズを読もうと思った理由
実は、シリーズ1冊目の『チーズはどこへ消えた?』は社会人になったばかりの頃に一度読んだことがありました。
当時の感想は「なんか普通だな」でした。
作中でも、「この物語で何も得られない人もいる」と書かれていたので、そんなものかなーと思っていました。
ただ、父親となり子どもの成長を見守る中で、「私は子どもの見本となれるような人間か?」と悩まされることが多くなりました。
何か、子どもたちに教訓めいたことを語れる父親になりたいなーとぼんやり考えていた時に、『チーズはどこへ消えた?』のことを思い出しました。
これなら分量も少ないし、シンプルな話で、子どもも理解できる内容なのではないかと思い、次はしっかり読んでみようと思い立ちました。
『チーズはどこへ消えた?』シリーズの作品紹介
ここからは、『チーズはどこへ消えた?』シリーズ4冊の内容を簡単に紹介していきます。
『チーズはどこへ消えた?』|変化への対処法
『チーズはどこへ消えた?』では、次の物語が語られます。
迷路に住む2匹のネズミと2人の小人。
迷路の中で大好物のチーズが沢山あるエリアを見つけ、2人と2匹は寝床から毎日そのエリアに出かけてチーズを食べていました。
しかし、ある日そのエリアにあるチーズはすべて食べ尽くしていまい、なくなってしまいました。
常に変化に備えており、思考も単純なネズミ2匹は、すぐにそのエリアから立ち去り、新しいチーズを探しにいきます。
しかし、ネズミより知能が高く、複雑な思考ができる小人は、変化の原因を考えたり、そのエリアにチーズが隠れているのではないかと探したりして、まったくそのエリアを移動しようとしません。
このままではいけないと気づいた1人の小人が、説得に応じない友達の小人を置いて迷路を歩き出し、様々な教訓を得るという内容です。
ここでは変化に備えて、現状を常に確認すること、変化が起きたら、素早く適応すること、変化を楽しむことなどの教訓を得ることが出来ます。
『迷路の外には何がある?』|古い信念を変える方法
『迷路の外には何がある?』は、『チーズはどこへ消えた?』の続編になります。
語られるのは、『チーズはどこへ消えた?』で変化に適応できずにその場に留まり続けた小人の1人が、古い信念を捨てて、一歩踏み出し、ついには迷路の外に出るまでの物語です。
この本から得られる教訓として、まずは、信念とは、あなたが「事実」だと信じる考えであり、「事実」は、単にあなたの物の見方にすぎない場合があるということ。
そして、今の信念ではありそうにないと思うことも考えてみること。
物語の中の小人は、自分が客観的な事実だと思っていたことは自分の物の見方であって思い込みにすぎなかったことに気がつき、迷路以外に世界は存在しないと思っていた自分の古い信念を捨てて、迷路の外に出ることが出来ました。
『プレゼント』|「今」を生きる重要性が書かれた本
『プレゼント』で語られるのは、ある少年が、青年へと成長する過程で、近所に住む老人から人生の成功哲学を学び、成功するまでの物語です。
英語が苦手なので知らなかったのですが、タイトルの「プレゼント」は、「贈り物」という意味のほかに、「現在」という意味もあるんですね。
つまり、タイトルの「プレゼント」は、このダブルミーニングであり、「現在」を生きることの重要性を語っています。
過去の失敗にいつまでもクヨクヨしたり、未来に対する不安に悩まされたりせず、現在に専念して生きること。
それは、過去や未来はどうでもいいということではありません。
過去の失敗からは教訓を得て現在に活かし、未来への計画を立て、それに従って現在を生きるということも語られています。
『頂きはどこにある?』|人生の逆境、順境の正しい対処法
『頂きはどこにある?』で語られるのは、谷底に住む若者が、一念発起して山を登った先で出会った老人から、人生の「山と谷の原則」を教わり、成功を手にするまでの物語です。
人生における「山」とは、物事がうまくいっている順境、「谷」とは、物事がうまくいかない逆境のことを指します。
山と谷は繋がっていて、どんな人にも必ず繰り返し訪れます。
そのことを前提に、いかに谷の期間を短く、山の期間を長くするかの対処法が書かれています。
まず大事なのは、山頂や谷底にいるとき、「この状況の真実は何か?」を自問し、必要以上に驕ったり、落ち込んだりしないことです。
そして、逆境の時は、そこに隠れる利点を見つけ、逆境の原因を見定め改善します。
順境の時は、決して傲慢にならず感謝の気持ちを持ち、順境の原因を見定めて改善、そして、いずれ来る逆境に備えることが重要になります。
【最後に】一度読んで終わりにしない
『チーズはどこへ消えた?』シリーズで語られていることはとてもシンプルで、物語を単純に読んだだけだと、「まあ、そうだよね」という感想で終わってしまうかもしれません。
しかし、ここで紹介されている物語は、抽象的で単純化されていることで、世界中の寓話がそうであるように、かえって普遍性を持っていると思います。
なので、人生の様々な問題に当てはめて考えても、何かしらの気付きが得られる仕組みになっているのではないでしょうか。
人生のあらゆる局面に対応できる内容だからこそ、折に触れて読み返すことが重要だと思います。
1時間くらいで読めるので、通して読んでもいいし、パラパラと格言が書いてあるページを拾い読みしてもいいし、終盤の教訓を箇条書きにしたページを読むだけでもいいと思います。
また、ディスカッションのパートがあるように、他人とこの物語について話し合うことも、より深く物語から教訓を得るために有効だと思います。
シリーズを通して、「この物語が気に入ったら、他人に広めよう」と書かれていますが、これは「良い考えだから広めてね」ということだけじゃなく、他人と共有して話し合うことで、さらに自分も高めることができるということじゃないかと思いました。
私も子供たちがもう少し大きくなったら、この物語を読ませてみようと思いました。